日本ソーシャル・イノベーション学会 第 5 回(2023 年度)年次大会 <分科会②>教育とソーシャル・イノベーションのご案内
2023.07.21
「ソーシャル・イノベーションと教育はどう結びつくか?」
SIと教育の関係を考える際、三つの視点/論点が示せよう。まず、SIについての教育という視点である。ここではソーシャル・イノベーション研究の蓄積をどのように活かして、教育課程を設計していくのか等を考えることになる。次に、SIのための教育という視点である。ここではソーシャル・イノベーターが育つ教育実践がどのようなものであるのか等を考えていくことになる。最後に、SIとしての教育という視点である。ここでは教育実践そのものがソーシャル・イノベーションを先導する、そうした動きの実際/可能性はいかなるものか等を捉えていくこととなる。当然ながら、この三つの視点/論点は重なり合うものである。しかし、敢えて三つに分けて検討を進めることで、一つひとつの解像度をあげた議論に進むことを今回は期待したい。そこで本分科会では、三つの視点について、それぞれゲストスピーカーをお招きし、まず話題提供をいただく。その上で、SI研究のこれまで/これからと教育との結びつきを強めていく方向/方法を全体で見出していくこととする。
⚫︎登壇者
(1) 主にSIについての教育の視点から
村上紗央里(同志社大学人文科学研究所嘱託研究員)
専門は公共政策学教育、コミュニティ・ベースド・ラーニング(CBL)、シティズンシップ教育、環境教育等。2020年3月同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了、博士(政策科学)。ポートランド州立大学グローバルフェロー。
主な研究業績は、嘉田由紀子・新川達郎・村上紗央里編著『レイチェル・カーソンに学ぶ現代環境論-アクティブ・ラーニングによる環境教育の試み-』(法律文化社、2017年)、村上紗央里・新川達郎著『公共政策学教育の現状分析-ポリシー、カリキュラム、授業実践-』(明石書店、2023年)。
現在は、公共政策学教育の教育研究とポートランド州立大学のCBLと日本向け人材育成プログラム(JaLoGoMaプログラム)、ポートランド市におけるDEIのまちづくりについて研究を進める。
新川達郎(同志社大学名誉教授)
日本ソーシャル・イノベーション学会代表理事。同志社大学名誉教授、総合地球環境学研究所客員教授、公益財団京都市環境保全活動推進協会理事長(京エコロジーセンター館長)など兼任。早稲田大学大学院政治学研究科修了後、(財)東京市政調査会研究員、東北学院大学法学部助教授、東北大学大学院情報科学研究科助教授、同志社大学大学院総合政策科学研究科教授(2021年3月定年退職)など歴任。専門分野はソーシャル・イノベーション論、市民参加論、パブリック・ガバナンス論、公共政策論、地方自治論、行政学。
著書・論文に,「ソーシャル・イノベーション研究の新たなパラダイムに向けて」(『ソーシャル・イノベーション研究 』No.1、2020)、「ソーシャル・イノベーションの理論と技法」(『社会科学』50(4)、2021)、共著『ソーシャル・イノベーションの理論と実践』(今里茂編著、2022年、明石書店)、「持続可能な地域づくりにおけるソーシャルセクターの展望」(『ノンプロフィット・レビュー』21(1,2)、2022)ほか。
(2) 主にSIのための教育の視点から
佐野淳也(神山まるごと高等専門学校准教授)
1971年、徳島市生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修了(社会学修士)、博士(ソーシャル・イノベーション/同志社大学 2020)。阪神淡路大震災での被災地支援NPO、インド現地NGOでのインターン、国際環境NGOスタッフ、東京学芸大学環境学習研究員、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科准教授、徳島大学地域創生センター助教、同志社大学政策学部准教授、大阪成蹊大学経営学部准教授など経て現在に至る。神山まるごと高専では、社会共生と地域共創を学ぶ「ネイバーフッド概論」を担当。またこれまでNPO論やまちづくり、ワークショップデザインなどの科目を多くの大学で教えてきた。日本ソーシャル・イノベーション学会理事。共著に「ソーシャル・イノベーションの理論と実践」(明石書店)、「はじめてのファシリテーション」(昭和堂)ほか。
(3) 主にSIとしての教育の視点から
原めぐみ(和歌山工業高等専門学校准教授,Minamiこども教室実行委員長)
和歌山県出身。高校時代にフィリピン留学を経て、慶應義塾大学総合政策学部にて東南アジアの地域研究に没頭。大阪大学大学院人間科学研究科に進学し、海外フィリピン人労働者や子ども・若者移民について研究。大学院時代にMinamiこども教室が発足し、ボランティアとして活動を開始し、2016年より実行委員として運営を担う。2016年、博士号(人間科学)を取得し、大阪大学未来戦略機構特任助教を経て、現職。共著書に『ニューカマーの世代交代:日本における移民2世の時代』(明石書店、2023年)、『多文化共生の実験室:大阪から考える』(青弓社、2022年)、『共生の思想と作法:共によりよく生き続けるために』(法律文化社、2020年)。
⚫︎コーディネーター
川中大輔(龍谷大学社会学部准教授)
神戸生まれ。青少年支援や環境問題、まちづくり、社会事業家支援のNPOで活動し、2003年にシチズンシップ共育企画を設立。現在同代表。全国各地で市民教育や若者の参加、協働まちづくりやNPOマネジメントのワークショップを担当している。2013年に日本シティズンシップ教育フォーラム(J-CEF)を多くの方々と共に設立。現在同事務局。他にNPO法人神戸まちづくり研究所理事、こども家庭庁こども家庭審議会こども・若者参画及び意見反映専門委員会委員なども務めている。
(財)大学コンソーシアム京都研究主幹、立命館大学共通教育推進機構嘱託講師(サービスラーニング担当)、龍谷大学社会学部専任講師を経て、2021年より現職。専門は社会デザイン研究,シティズンシップ教育論で,市民の社会参加や社会イノベーション実践に資する教育/研究に取り組んでいる。2019年から放送大学客員准教授。共著書に『多文化共生のためのシティズンシップ教育実践ハンドブック』(明石書店,2020年)、『道徳教育』(ミネルヴァ書房,2019年)ほか